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『た』 掌 たなごころ

祈りにも似た想いを籠めてあわせた手をそっとひらく
祈りにも似た想いを確かめながら閉じた眸をそっとひらく

わたしの眸に映るのは
大きくもない
小さくもない
ふたつのならんだ たなごころ


のどを潤すのに必要なだけの水
おなかを満たすのに必要な穀物
いくつかの水菓子

砂山を作るためにすくう銀砂
ちいさな貝殻
ちいさなさかな

縁日でであったピンクのひよこ
生まれて10日の子猫
野原でつんだタンポポの綿毛

ふたつあわせた僅かなくぼみに
わたしはたくさんのものをのせてきた

孫悟空をその手のひらで悠々と遊ばせたお釈迦様には敵わないけれど

それでも大切ないくつかの珠を
大切な想いと共に
大事に 大切に
ふたつのたなごころにのせてきた。

幼い頃には幼いなりの
少年の頃には儚い夢を
青年の頃には切実な想いを
こぼしながら 落としながら
それでもそっと包んで未来へと運ぶ
僅かなくぼみに神経を集中させて
精一杯の想いを籠めて

そしていま

わたしの眸に映るのは
わたしのふたつのたなごころの上にあるモノは

貴方に届けるためだけに在る
ちいさな ちいさな
けれどもこぼれてあふれるほどの
ひとつのコトバが結晶した
ちいさな ちいさな 水晶の珠

わたしが手渡すこの珠は
貴方のふたつのたなごころのの上で
あふれてこぼれだすだろうか
ほんの僅かのかたまりとなって
ころり ころり
ほかの珠に紛れてしまうだろうか


貴方のふたつのたなごころを満たすため         
              わたしはコトバを探し集め
                       不純物を昇華させ
                              水晶の珠に結晶させよう




貴方のたなごころと わたしのたなごころ
たくさんのコトバをのせられるのはどちらだろう


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by fusyou-kumahachi | 2006-05-20 02:53 | ututu

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