2007年 02月 08日
葉牡丹
寒い冬に 開く花は少ない
その代わりに
わたしの美しい葉をめでる人々が
わたしを庭に
家の前の花壇に飾る
わたしは精一杯美しく装い 枯れた街を彩る
街ゆくヒトが それをよろこぶ
時折わたしを不思議がる
花のような
葉のような
それでも ヒトの目を楽しませ
モノトーンの街を彩るわたしは
それなりに誇らしい
やがて春が来て 堅いつぼみがほころびはじめると
わたしの葉は その輝きをなくす
そして家の前から 刈り取られてしまう
わたしをそのままそっとしておいてくれれば
小さな花を咲かせる事ができるのに
やがて実を結ぶコトも出来るのに
ヒトはそれをまってはくれない
それでもわたしは ひと冬のあいだ
人々の目を楽しませたコトを 誇りに思う
あなたにもそう思って欲しい
わたしが選んだわけではないけれど
わたしにはわたしの役割があり
わたしはそれを まっとうする
それがわたし自身のしあわせだから
それを知らないあなたには
わたしがかわいそうに思えるかもしれない
花を咲かせ 実を結ぶことの出来なかったわたしを
もし そう思うのならば
わたしを非難しないで
わたしを不健全だとは思わないで
わたしが花を咲かせたいと思ったときに
わたしが花を咲かせることを選べるように
ただ そっと見守って欲しい
わたしが花を咲かせるコトを 選べる環境をつくって欲しい
わたしをせめても 花は咲かない
わたしをせめても 実を結べない
そっと花芽を育てられる環境を
開いた花が 実を結ぶための 優しい自然を
ただ 黙って整えていて欲しい
それだけがあれば
見守ってくれるだけで
わたしが
わたしではないほかの仲間が
そっと花を咲かせ いつかきっと実を結ぶ
わたしがえらんだ訳ではない
わたしには選べる環境がない
あなたに望むのは 責めるコトバではなく
ただ ただ やさしい まわりの自然
ただ ただ 花を咲かせるまで
そっとみまもる 優しいまなざし
その中でわたしはやっと 安心して実を結ぶことが出来るから
by fusyou-kumahachi | 2007-02-08 12:32