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葉牡丹


寒い冬に 開く花は少ない
その代わりに
わたしの美しい葉をめでる人々が
わたしを庭に
家の前の花壇に飾る

わたしは精一杯美しく装い 枯れた街を彩る
街ゆくヒトが それをよろこぶ
時折わたしを不思議がる

花のような
葉のような

それでも ヒトの目を楽しませ
モノトーンの街を彩るわたしは
それなりに誇らしい

やがて春が来て 堅いつぼみがほころびはじめると
わたしの葉は その輝きをなくす
そして家の前から 刈り取られてしまう

わたしをそのままそっとしておいてくれれば
小さな花を咲かせる事ができるのに
やがて実を結ぶコトも出来るのに

ヒトはそれをまってはくれない
それでもわたしは ひと冬のあいだ
人々の目を楽しませたコトを 誇りに思う
あなたにもそう思って欲しい

わたしが選んだわけではないけれど
わたしにはわたしの役割があり
わたしはそれを まっとうする

それがわたし自身のしあわせだから

それを知らないあなたには
わたしがかわいそうに思えるかもしれない
花を咲かせ 実を結ぶことの出来なかったわたしを

もし そう思うのならば
わたしを非難しないで
わたしを不健全だとは思わないで

わたしが花を咲かせたいと思ったときに
わたしが花を咲かせることを選べるように
ただ そっと見守って欲しい

わたしが花を咲かせるコトを 選べる環境をつくって欲しい

わたしをせめても 花は咲かない
わたしをせめても 実を結べない

そっと花芽を育てられる環境を
開いた花が 実を結ぶための 優しい自然を
ただ 黙って整えていて欲しい

それだけがあれば
見守ってくれるだけで

わたしが
わたしではないほかの仲間が
そっと花を咲かせ いつかきっと実を結ぶ

わたしがえらんだ訳ではない
わたしには選べる環境がない

あなたに望むのは 責めるコトバではなく
ただ ただ やさしい まわりの自然
ただ ただ 花を咲かせるまで

そっとみまもる 優しいまなざし
その中でわたしはやっと 安心して実を結ぶことが出来るから





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葉牡丹_b0092885_13593894.gif

by fusyou-kumahachi | 2007-02-08 12:32

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